住宅の基礎について、まだまだ認識の低い人が多いと思います。今回は基礎の構造について述べたいと思います。
住宅の基礎には布基礎、ベタ基礎、独立基礎といくつかの形状があります。私がたずさわってきた住宅は全てベタ基礎なのでここではベタ基礎に絞って説明します。
図1(基礎の種類)
ベタ基礎は底版部と立上り部に分けられます。底版部は地盤反力を受けて建物の荷重を地盤に伝える役割があります。立上り部は木造軸組を受けると共に梁としても機能します。
立上り部の梁としての機能について踏み込んで考えて見ましょう。
基礎部が梁として機能しないとどうなるか?上部の耐力壁をいくら強く計画しても十分に機能しなくなります。場合によっては地震時に底版部が損傷します。
図2(基礎梁の機能説明)
昔の住宅は布基礎の場合が多く、鉄筋が入っていなかったり、立上りの高さが小さかったり細切れに切れていたりします。耐震補強工事ではこれらの梁としての機能を持たない基礎に梁としての機能を持たせるところが一番のネックなのです。実際にこういった補強をするには1Fの床を大きく剥がして基礎工事をするなどかなり大がかりな工事になります。
図3(耐震補強)
最近の木造住宅は高倍率の耐力壁(耐震壁)を採用することが多くなってきています。又、耐震補強においても10kNまでの耐力壁が認められています。10kNの耐力壁を用いると言うことは縦横比を3:1とするならば10kNの3倍の30kNが柱脚の引抜き力として掛かってくることになります、1階と2階で10kNの耐力壁が上下に重なる場合には60kNと言うことになります。実際には建物の荷重が押さえ込むのでここまでの引抜きは生じませんが、それでも50kNの引抜き金物を用いることはそんなに珍しいことではありません。50kNと言うと5tの引抜き力です。片側では5tで引っ張り、もう片方では8tで押しつける。かなりの曲げが梁に掛かかると想像できると思います。
そんなことで、新築、改修を問わず、基礎がしっかりと曲げに耐える梁として機能するように設計する必要があるのです。